本記事のサマリ
今回は(東京江戸川区にオフィスを構えている)オフィス家具の総合通販サイトを運営する株式会社ネットフォースのシステム部マネージャーの倉地利治氏に、弊社東野がインタビューさせていただきました。 DX戦略の1つである通販サイトの注文確認処理における業務のデジタル一元化に取り組む際に、弊社マッチングサービスであるProConnect(プロコネクト)人材と、当社のコンサルタントを採用いただいており、今回は現在も進行中のプロジェクトについても言及いただきながら今後の展望も含めお話を伺いました。
プロフィール
倉地 利治 氏
株式会社ネットフォース システム部マネージャー
家電量販店で調達業務を中心にITを活用した組織改革を推進。システム刷 新や新システム導入による業務改革を担当し、経営統合に伴うシステム・ 業務の統合やITコスト削減を推進。現場の課題抽出から施策立案、社内決 済、導入テスト、定着化支援まで経験。経理・財務・総務・法務・店舗・ 調達業務・内部統制など幅広い業務改善経験あり。
東野 智晴
イーストフィールズ株式会社 現)株式会社WorkX 代表取締役
2009年に東京海上日動に入社し、IFRS対応プロジェクトに従事した後、 ベイカレント・コンサルティングにてマーケティング・セールス領域の改 善を中心に支援。当時、夫婦で子育てしながらも会社や時間に拘束され る働き方に課題を感じたことを機に、すべての人に自由な働き方を提供し たいと考え、2018年にイーストフィールズ株式会社を設立。
注文確認処理に伴う業務のデジタル一元化
東野:注文確認処理のデジタル一元化に取り組まれた経緯について教えてください。
倉地:まず自分が入社したのが、ITを本格的に進める取り組むためシステム部の見直しするタイミングでした。 組織見直しの背景は、私の入社前にシステムの導入を試みましたが、リリースすることなく途中で中断するという失敗を経験していたことです。結果、まず部門をしっかり立ち上げていく事になりました。 私が入社した時には、すでに某ベンダーが販売するパッケージ基幹システムの導入する方針であったが、契約期間が長期で設定されている点 や、何より当時エクセルで作り込まれた業務フローが、提案されたパッケージシステムへフィットしないのではないか、というリスクがあったため御社に相談させていただきました。
東野:ありがとうございます。懸念点を加味した上で、RPAとKintoneでの柔軟かつクイックなデジタル化を提案させていただき、お取り組みがスタートしました。
倉地:ビックバン的なシステム導入ではなく、リスクを抑えてスピーディーに進めたい思いを汲み取っていただけたと感じています。
自動化を進めるべくシステム構築の課題抽出の難航
東野:実際に案件がスタートしてからの弊社の動き方への評価をいただけますと幸いです。
倉地:ちょうど、システム部のメンバーが退職や異動などで、十分な組織体制が構築出来てないという状況であり、我々が動けない分、システム部と現場とのギャップを埋めるべく、現場に入り込んで伴走いただいたと感じています。
東野:現場と直接やり取りさせていただくことで、属人化していた業務を把握しやすかったため、結果的にプロジェクトを推進する上で良い進め方であったと感じております。
倉地:まさに、現場からは要件定義の前に、まず注文確認処理作業は、実際に手を動かしていただかないと改善点が拾いきれないという意見が上がった為、弊社の状況に寄り添っていただきました。
東野:ただ、全てが順調だったわけではなく、一度構築したシステムをリリースしましたが、実際のデータのバリエーションや例外処理に対応しきれておらず、業務がまわらなかったため、元のエクセル作業に戻して、システムリリースをやり直すという失敗もしてしまいました。この時に、現場からの信頼も失いかけてしまい、プロジェクトとしては大きな危機的状況であったと捉えています。
倉地:そうですね。まさにリリース直前で、注文確認処理方法が人によって異なる事が発覚し、現場の仕事内容を拾いきれておらず、一回目のリリース計画は完全に失敗でした。 しかし、助かったのは、現場のメンバーもそこで諦めずに、成功に向けて業務ロジックの洗い出しに積極的に協力してくれた事が、大きかったと思っています。 その後、3ヶ月かけて再度業務分析とテスト実施により、無事リリースを迎えることができました。
東野:1度目の計画が変更になった問題としては、クイックな開発を重視するあまり、ドキュメンテーションでの確認が甘かった事であったと 捉えています。 現場と我々でのコミュニケーションに少しずつズレがあり、それが積み重なって、実際のデータのバリエーションになって、問題が顕在化したと思っております。
倉地:プロジェクトは、やはり期限を決めて進行するものですし、クイックに進める事を優先にしすぎたと、こちらとしても反省点はありまし た。 私と現場にも認識差異があったかと思います。
東野:とんでもございません。やはりドキュメンテーションしきれない部分はあるものの、肝となる処理の部分は、詳細を明記して認識合わせを丁寧にして進めるべきであったと反省しています。
倉地:前向きに捉えるとすると、スケジュール変更したからこそ、複雑化していた注文確認処理の課題が明確となり、メンバーとのコミュニケーション量も増え、プロジェクトを立て直した際には成功したと言えるのではないでしょうか。
東野:ありがとうございます。無事に注文処理の自動化の第一弾はリリースでき、稼働中です。現在は、さらなる自動化のために障壁となっているマスターデータの整備を進めております。
倉地:貴社の新メンバーとして、同業他社で基幹システム開発経験のあるコンサルタントの方が加わってくださり、スピード感を持って検討が進んでいると感じております。
東野:ありがとうございます。プロジェクトの進行状況を判断し適材適所で人材をアサインできるのは我々の強みであると捉えています。
現在から今後について
東野:今後の展望について教えてください。
倉地:今年の目標としては、フルフィルメント業務における生産性向上の推進、IT化、DX化にむけた組織、インフラ、ガバナンス、セキュリ ティ基礎構築を挙げています。2024年まで5大テーマ(①注文処理自動化、②商品/出品管理高度化、③在庫管理高度化、④直販システム高度 化、⑤デジタル基礎づくり)に取り組んでおり、現在はデジタルの基盤づくり、商品/出品管理の高度化を進めています。
最後に
東野:弊社コンサルティングサービス、ProConnectについてコメントをお願いします。
倉地:1回目のリリース直前での現場との認識差異が発生した時は、どうなることかと思いました。
東野:1回目のリリース計画変更によって、現場とのコミュニケーションがより密となり、本当の意味での協力体制が確立できたと感じております。
倉地:1回目のリリース計画変更は、プロジェクトを進行する上での期限という観点からも、社内の上層部からの評価も厳しいものでした。現場と御社コンサルタントの関係値は良いものとなり、リリースの成功への通過点となりましたね。
東野:はい。しかし、本当は計画通りでバッチリと決めたかったのが本音です。(笑)
倉地:東野さん自身にも総括として案件に参画いただいたことは、コンサルタントとして敏速な対応として感謝しております。
東野:大変恐縮です。
倉地:強いて言うと、現在取り組み中のマスター確立が、今年の上旬であれば、プロジェクトのスピート感としては、理想的であったと言えます。
東野:マスターの確立へ向けた課題抽出に関しても、想定以上のヒアリングの必要性が出てきたことや、現行のマスターデータ不備のための項目完備支援、さらに先の取り組みとして予定していました、商品および出品管理の高度化と在庫管理の高度化の項目を前倒しした事が今年の下旬の納期となった要因です。
倉地:多くの問題はありましたが業界用語ではなく自社用語を使ったコミュニケーションをしていただいたことや、現場理解に努めていただいたことなどにより、経営層からの信頼を得ることができました。今後も継続してお付き合いさせていただきたいと考えています。
東野:今後も、御社の課題、フェーズに合わせて適材適所で人材を活用し、戦略から実施支援まで一貫してサポートさせていただきます。