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【スカイライト×WorkX対談】AI時代においてコンサルファームの価値はどこにあるのか

2025/11/26

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本記事のサマリ

今回、今年で創業25周年を迎えた、スカイライトコンサルティング株式会社 ディレクターの山下厚氏と、弊社取締役CSO藤嶋が対談させていただきました。藤嶋はスカイライト出身であり、山下氏とは在籍時より現在にかけて関係性が深いことから、対談が実現しました。 現在はコンサルティングファーム兼事業会社であるWorkXの取締役CSOを務める藤嶋と、コンサルティングファームのディレクターである山下氏という、立場の異なる両者から見た” AI時代に求められる、コンサルスキルとファームの提供価値”についてお話いただきました。 (対談日:2025年10月22日) 前編後編の2部構成としており、本記事は後編でございます。 前編はこちら)【スカイライト×WorkX対談】AI時代に求められるコンサルスキルとは https://work-x.com/projects/hv11qzd5x/

プロフィール

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山下 厚 氏

スカイライトコンサルティング株式会社 ディレクター

東京大学法学部法律学科卒。2009年、スカイライトコンサルティングに参画。
2018年よりビジネス戦略ユニットの統括責任者(現職)。
主に大企業向けの経営/事業戦略策定を手掛け、中期経営計画策定や新規事業立ち上げ、複数企業間のアライアンスM&Aの案件を主導。実行PMとして経営層から現場まで幅広く寄り添い成果創出した案件も多数あり、プロジェクトマネジメントの有識者としても登壇。社内の新規事業としては、Skylight Consulting Vietnam(同社子会社)の立ち上げをリードし、ASEANを中心としたグローバルビジネスの拡大と安定化にマネジメントの立場で尽力。
広報誌メディアとしてコンサルティングやベンチャー投資、スポーツビジネス等の各種事業で得たインサイトを発信する『SKYLIGHT Magazine(
)』の編集長。

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藤嶋 祐作

株式会社WorkX 取締役CSO

東京大学大学院を修了後、スカイライトコンサルティング、プロジェクトカンパニーを経て、WorkXに参画。
プロジェクトカンパニーでは取締役として業容拡大に貢献。2021年東証マザーズ上場後、複数のグループ会社において代表取締役、常務執行役員を並行管掌。
現職では執行役員を経て取締役に就任し、LeanXおよびSales事業を管掌。
新規サービスの戦略立案、マーケティング施策検討、システム導入/刷新、BPR/BPOなど、多様な領域/業界への支援に従事。

成長パートナーとしての「伴走」の価値

藤嶋 これからの時代、コンサルタントの価値はどこにあるとお考えでしょうか。

山下氏 企業や事業が成長することのパートナーとして、全体感を持ってクライアントに伴走できることですね。

競争環境が激化する中で、その時々で風の流れを読みながら、的確な判断を後押しできることが価値になると思います。クライアントと二人三脚で思考し続けること、時としてリーダーシップを発揮すること。そして、事業構造も以前よりも複雑化していますので、実務的には現場における議論や合意形成を丁寧に進めていくことも一層大事になってきます。そのような場面で、フラットかつオープンな視野を持ちながら第三者の立場として物事を前進させていくことが価値になると考えます。

全体感という観点では、コンサルタントには戦略や業務、システム、組織など、各領域を俯瞰するような大局的な視野が求められます。その過程では、各領域の専門家や、場合によっては他のパートナー企業とのコラボレーションを推進する役割も重要です。

藤嶋 大局観を持って、適宜必要となるコラボレーションも進めながら、企業や事業の成長に向けて共に歩んでいくということですね。そこには、AIが持たない人間力が効いてくるという側面もあるのでしょうか。

山下氏 間違いなくありますね。ひと昔前は、クライアントが属する業界や競合他社の事例に精通し、あらゆる戦略や企画の検討をスピーディに推進することが一つの価値でした。それは今でも大事なことですが、AIの活用によってクライアント側の業務の生産性が向上し、様々な情報を効率的に分析できるようになりました。そうなると、実際に当事者として従事した経験がより大きな価値の源泉になります。戦略策定や組織設計、業務改善、システム開発・・・と全てにおいて、現場で積んだ経験が「地に足が着いたノウハウ」として、より重要性を増していきます。地道に泥臭くやってきたり、時として挫折を味わったような経験からも、未来に向かって何等かの学びや示唆を得られるはずです。

何度でも失敗を重ねてしまうところが人間ですし、その一つ一つの経験はむしろ今後も活かされていくと思います。パートナー企業などとのコラボレーションの推進はもちろん、そもそもそういう人間味のあるコンサルタントにこそ、多くのフォロワーがつくものです。いわゆる「ファーストペンギン」だけでは、ビジネスは創れないですから。

御社も伴走型のコンサルティングスタイルでクライアントをご支援されていますが、その中で特に「この価値を大切にしよう」と心掛けていることはありますか。

藤嶋 当社は、育成含めプロフェッショナルを増やしていくこともミッションだと考えており、若手コンサルタントも多く採用しています。それもあり、伴走する中で「クライアントと共に成長していく」ことを心掛けています。

昨今では、「伴走型」を標榜するコンサルティング会社は少なくないのですが、社員のリソースを代替するような会社など、伴走のスタイルも様々出てきています。そのような中で当社としては、目の前のクライアントに真摯に向き合うことを通して、お互いに高め合っていけるような関係性でクライアントの横、もしくは2,3歩先を伴走することを大切にしています。

山下氏 お互いをリスペクトして高め合える関係性、大事ですよね。クライアントとコンサル会社という関係性も、究極的には人と人ですからね。自社の若手メンバーもそうですし、クライアント側の人の成長にも寄与できると、コンサルティング冥利に尽きますよね。
 


藤嶋 コンサルタントには、「言われたことだけやる」ではなく、元々の意味である”相談”をちゃんと受けることが求められていると考えています。特にクライアントの経営層に向き合っていると、答えがすぐに出ないような難しい“相談”をお受けすることも多いです。

一方で、経営層だけでなく、幅広い関係者の方々とも伴走することも大事です。ご支援差し上げた方々が昇進していく過程自体に中長期的に伴走差し上げることも大事だと思っています。まさに「クライアントと共に成長していく」ということですね。

スカイライトとWorkXが目指す未来

藤嶋 御社の中長期的な展望を教えていただけますでしょうか。

山下氏 私の視野では特に3つの方向性を考えています。

1点目は、より大きなビジネスを形にするために、さまざまな企業や人とコラボレーションしていくこと。当社自体が努力を続けることは大前提ですが、世の中が複雑化する中で、当社単独では実現が難しいことも出てくると思います。そのような局面で、御社はもちろん、共に未来に向かっていけるパートナー企業や人との協業を丁寧に進めていきたいです。

2点目は、インサイトの発信に一層注力していきます。当社は今年で創業25周年を迎え、これまでの様々な経験から社内にはノウハウが蓄積されています。事業やジャンルを問わずにインサイトとして公開していくことで、世の中の企業の一助になればという想いですし、その先のクライアントへのご支援にも尽力してまいります。

3点目は、グローバルビジネスへの注力です。当社は、投資先やパートナー企業とも連携しながら、アジアをはじめ、アメリカやアフリカ、ヨーロッパなど世界中でビジネスを展開しています。新興国が急成長するダイナミズムには目を見張るものがありますが、先進国で培った経験を活かしてまだまだ創造できる価値があると思っています。今後も国境をまたいだ様々なご支援をして世界中の企業や人、そして社会の未来を切り拓いていきたいです。

藤嶋 コンサルティングのご支援の中でも、クライアントに対してご指南をさせていただくような場面があるかと思います。ノウハウの発信については、そうしたコンサルティングサービス提供の手前段階として、助走的な意味合いがあるものでしょうか。

山下氏 はい、その意味合いもあります。特定のテーマに関して当社のインサイトを一読いただければ、現実的にお役に立てると考えています。ただ、伴走型でのコンサルティングのご支援自体は、クライアントの描く未来や抱える課題に対してカスタマイズするような形でサービスを提供しますので、その意味では一線を画しています。また、今後様々なテーマで発信をしていきますので、当社のインサイトを純粋に「おもしろい」と感じていただければ嬉しいです。
 


山下氏 御社も様々な領域や業界でのコンサルティングを手掛けている中で、ハイクラスのフリーコンサルタントも起用しながら事業拡大されていますよね。ノウハウの蓄積・活用という観点で、今後の構想はいかがでしょうか。

藤嶋 当社は「ProConnect」というマッチングプラットフォームを運営しており、現在7,000名のプロフェッショナル人材が在籍していて、当社の大きな強みの一つと考えております。一方で、プロフェッショナル人材が持つノウハウの蓄積は未だ途上段階にあります。

今後の展望としては、人月単価での稼働以外のビジネスモデルへの拡張も含め、7,000名のプロのノウハウを最大限活用できる状態を創り、その上でクライアント企業や社会へ還元したいと考えています。

山下氏 サービス提供先のマーケットについては、御社としてはどのように構想されていますか。

藤嶋 当社は、「この国の生産性を世界一に」というビジョンを掲げており、まずは日本で様々なクライアントへの価値提供を続け、事業を拡大していく予定です。そのために事業ドメインの拡張も重要だと考えており、コンサルティングのみならず開発やHRなどの領域への多角化も構想しています。

そして、将来的にはIPOを経て、グループ会社設立やM&Aなどを通じて規模を拡大していくことで、アクセンチュアのようなモデルを目指します。

山下氏 順調に事業拡大されていて、社員数も着実に増えていると思いますが、人材の育成についてのポイントはどのようなところにありますでしょうか。

藤嶋 本人に覚悟さえあれば抜擢人事されるという風土を浸透させています。それを下支えする仕組みとして、コンサルファームとしてのアナリストやコンサルタントなどの職位とは別に、部長や副部長などの役割を設定しています。挑戦したいメンバーに手をあげてもらい、面談で本人の覚悟を確認した上で実際に抜擢するようにしています。キャリアアップや成長のために色々と自らが考えた結果で挑戦してもらい、責任感を持ってやり抜いてもらうことを意識して制度運営しています。特に、AI時代における人材育成は重要な経営アジェンダですからね。

山下氏 AI時代に、アウトプットやスピード感にフォーカスがあたる中で、あえて隙間を埋めてあげるような感覚で一人一人に向き合う時間を意識的に確保することも大事ですよね。

藤嶋 おっしゃる通りです。本日は貴重なお話をいただき、ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

山下氏 こちらこそ、ありがとうございました。とても楽しい時間でした。今後ともよろしくお願いいたします。


前編はこちら)【スカイライト×WorkX対談】AI時代に求められるコンサルスキルとは

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